ろぐの垂れ流し

LOVE定額の相手に着信拒否されたことあるか?!

町屋良平『1R1分34秒』新潮社

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 ボクシングを題材にした好きな映画がいくつかあります。安藤サクラ主演の『百円の恋』、フランス作品の『負け犬の美学』は大好きな映画です。プロを続けられなくなる年齢制限を前にタイトル戦にチャレンジする不器用な会社員ボクサーを追ったノンフィクション作品『一八〇秒の熱量』山本草介著は読み物全般の中でもかなりのお気に入りです。アツい!最高!

 ところがボクシングを扱った小説となると全く読んだことがありません。といっても寡聞にして寺山修司あゝ、荒野』(未読)しか思いつかないのですが・・・

 そんなわけでボクシング小説初体験でした。

 いや実に面白い!読んでよかった!

 

 じっとりじめじめ精神世界の闇を覗き込む・・・のようなわたしの勝手な芥川賞作品への先入観はあっさり裏切られ、乾いた短い文体の積み重ねで主人公の肉体との非常に実存的な対話が書かれます。これがスポーツ作品や山岳小説の醍醐味ですね。

 この作品の優れたところは、その「肉体との対話」が主人公の観念のもやもやの解消につながっていく様が非スピリチュアルな語り口で描かれているところだと思います。

 ぶっきらぼうな先輩ボクサーがトレーナーにつき、ボクシング技術はもちろん体の使い方や生活リズム、食事の指導を受けることによってボクサーとしての成長を実感しながらそれに加えて主人公の見る世界がクリアになっていって、世界とのコネクションがスムーズになっていくその様が、特にドラマチックな盛り上がりがあるわけではないのだけどわたしにはとてもエキサイティングで爽快でした。

 そして、読了後にはたと気付いたことがあったのですが、この小説、作中で登場人物の容姿を全く説明しないのです。読んでいる途中では疑問にも思わず違和感も無かったのですが、この独特の世界観を作るのにきっと影響している書き方だと思うのですよね。

 時間が経ってから再読しなくては。

映画『モーリタニアン 黒塗りの記録』ケヴィン・マクドナルド監督

監督    ケヴィン・マクドナルド
出演 ジョディ・フォスター     ナンシー・ホランダー
   タハール・ラヒム          モハメドゥ・ウルド・スラヒ
   ザカリー・リーヴァイ        ニール・バックランド
   サーメル・ウスマニ
   シェイリーン・ウッドリー      テリー・ダンカン
   ベネディクト・カンバーバッチ    スチュアート・カウチ中佐

 

 ケヴィン・マクドナルド監督『モーリタニアン 黒塗りの記録』を観ました。


 米国の国家権力の暴走を描いた映画ですが、これがちゃんと批判とエンターテイメントが両立しているのが凄いですよね・・・。めちゃくちゃ面白かったです。拷問シーンは目を背けたくなるほど酷いですけど。米軍女性兵士による男性収監者へのレイプが「特殊尋問プログラム」の一環として実行されていたなんて、なんて狂ってんだと思います。

 敵と恐怖と正義があれば、人間はこんなにも残酷になれる。

 これと『ザ・レポート』『バイス』『ルーミング・タワー』を観れば、当時ブッシュJr、チェイニー、ラムズフェルド、ライスと揃いも揃ってクソみたいな政治家が傍若無人に振る舞っていて、米国をさんざん痛めつけていたんだな、と感慨深いです。唯一『ゼロ・ダーク・サーティ』だけは正義の執行とプロフェッショナリズムについて肯定的に描いています。本作の冒頭の拷問シーンの扱いについて初めて観た当時は戸惑いましたが、上述の作品群や『ボーダーライン(SICARIO)』を観てようやく米国人にとっての「腫れ物」なんだと分かった次第です。

 米国が自由と平等の国だとも民主主義の聖地だとも思いませんが、少なくともこれらの映像作品が商業的なプラットフォームで有名俳優を起用して作れる土壌があるというのは日本とは大きくかけ離れたところであると思います。


 映画『牛久』なんかが日本人映画監督によって手掛けられない現状に、世界報道自由度ランキングが昨年の67位から71位に着実に後退している日本で、憲法変えたい厨二病患者が他所の国の戦争を見てソワソワ浮かれ騒いでいるというのはとても気持ちの良い世相とは言えません。

漫画『事件屋稼業』関川夏央、谷口ジロー

エッセイしか読んだことがなかった関川夏央原作で、なんと!谷口ジロー作画の『事件屋稼業』というコミックスがあると聞いてさっそく古本を大人買いしました。チャンドラー作品と関係があるのかないのかはまだわかっていないのですが。

これは・・・格好いい!

空気感や時代感は藤原伊織『テロリストのパラソル』に通じるところもあって、たまらないですよ。ファンの方には申し訳ないですけど、わたしは原尞よりこっちの方が良くできてると思います。

ジェド・豪士や平賀=キートン・太一の源流は間違いなくここにあるのではないでしょうか。

ジェフリー・ロバーツ『スターリンの将軍 ジューコフ』

 ロシアがウクライナに侵攻してすぐに黒川祐次『物語 ウクライナの歴史―ヨーロッパ最後の大国 (中公新書)』を読みました。その時はこの戦争はすぐに終結するものだと思い込んでいました。


 ところが悲惨な戦争は続きます。西崎 文子 他『紛争・対立・暴力――世界の地域から考える (岩波ジュニア新書 〈知の航海〉シリーズ)』を読み終えました。

 次にWW2以降の世界構造の変遷とロシアという国の実態を掴もうと河東 哲夫『意味が解体する世界へ 一外交官の考察』を読みます。

 ウクライナの徹底抗戦は続きます。


 もともと、ブラック上司に仕えたプロフェッショナルの仕事ぶりに興味があって買っていたジェフリー ロバーツ『スターリンの将軍 ジューコフ』に手をつけました。1ヶ月以上かかりました。


 ところがまだ凄惨な戦争は終わりません。


 とうとう、R.J.ラムル『中国の民衆殺戮 義和団事変から天安門事件までのジェノサイドと大量殺戮 』に手をつけるところまできました。スターリンウクライナに対して敷いた農業集団化がきっかけで起きた大飢饉「ホロドモール」で亡くなったウクライナ人は300万〜600万人と言われています。この歴史を知らずにウクライナ指導部に対して「民衆の命のために降伏すべき」論を展開するのは愚の骨頂です。


 ところがですよ、日本軍が中国で行ったジェノサイドの犠牲者は400万人です。400万人の民間人を殺したんですよ!民間人400万人!!


 第二次世界大戦中の日本軍人の戦死者の倍近い民間人を中国で殺戮した歴史をちゃんと頭に置いて日頃のニュースを見ていますか?


 とんでもないクソ国家に我々は住んでいて、しかも権力者達は復古主義でいつぞやの専制体制に恋焦がれているわけです。端的に言って狂っていますからね、あいつら。

映画『愛なのに』城定秀夫監督

監督:    城定秀夫
脚本:    今泉力哉、城定秀夫
出演:    瀬戸康史さとうほなみ河合優実、中島歩、向里祐香、丈太郎

 

 1週間前の日曜日、城定秀夫監督『愛なのに』を新宿武蔵野館で観てきました。素敵な劇場でした。


 『街の上で』で大ファンになった今泉力哉さんが脚本で参加しているプロジェクトという事で観に行ったのですが、じゃどうして今泉監督『猫は逃げた』じゃなくてこちらを観たのかというと、純粋にピンク映画のキャリヤを積んできた城定監督の演出する「成人映画ではない商業作品における正しい(はずの)エロと不貞と未成年との恋愛」に興味があったのです。


 正直、昨今の映画業界のパワハラ、セクハラの騒動に神経が消耗しているところがあって、じゃあ「癒されるエロ」があってもいいし、『愛なのに』はそうらしいと聞きつけて。


 ここ数年で私が観た映画の中ではダントツにベットシーンが多くて、下ネタの笑いが満載。東映の配給っていう安心感も大きかったですね。面白かったです。あえてギリギリのところで脚本を書いた制作意図は伝わってくるし、それだけに全方位に意識を張り巡らせた微塵の雑さも感じさせない作り方は物凄く好感度の高い出来上がりでした。事故的な暴力、不貞、性生活への満足/不満足、未成年との恋愛、教会での姦淫の告白!等々、わりと炎上しやすい素材を扱っているのですが、優しいんですよ、全てが。


 とにかくですね、主人公の瀬戸康史が片想いする元バイト同僚さとうほなみのフィアンセ役中島歩が最高なんですよ。自分のことモテると思ってきただらしない不貞男!「こんな息の抜けた締まりのない発声する男いるわ〜」なんつって小馬鹿にして観てたら、「あー、自分もこんな言い訳してそう」とか「あー、こんなトーンで謝りがち・・・」とか、憎まれ役のクソ男の形態模写がだんだん人ごとに思えなくなってきて、ラスト付近で向理祐香演じる浮気相手が彼に「不都合な事実」を突きつけるクライマックスシーンでは「頼む!それ以上俺のことを責めないでくれ!!」と泣き笑いで胸を掻きむしってしまう・・・。いや、ホンマに笑いましたー。

 瀬戸康史さとうほなみ河合優実も良かったですけど、向理祐香の飄々としていて毒っ気たっぷりながら憎めない演技が最高です。わたしは彼女のセリフがトリガーになる笑いが1番楽しめました。もちろん中島歩の受けが上手いんですけどね〜。

 『愛の渦』もすごく良かったけど、あれを劇場でみんなと観てたらどんな感じだったかしら?エロネタでゲラゲラみんなで笑う不謹慎の共有。やっぱり映画館って楽しい。


 『バッファロー'66』の名シーンを彷彿させるベットを上から撮るほんわかシーンや、それを逆転させてセックスの観念が転換したことを示唆するカットだったり、『ちょっと思い出しただけ』のような公園の定点観察やカットの切り替わりで不思議なパンをし始めるカメラワーク、もちろん『街の上で』を意識させる店舗の奥のレジカウンターの店主を撮る構図・・・などなど、いちいちニヤニヤしちゃう仕掛けも満載。


 いやー、満足度の高い良い映画でした! 

『THE BATMAN』マット・リーヴス監督

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監督・脚本・製作 マット・リーヴス

出演  ロバート・パティンソン    ブルース・ウェインバットマン
    ゾーイ・クラヴィッツ     キャットウーマン
    ポール・ダノ            リドラー
    ジェフリー・ライト      ジェームズ・ゴードン
    ジョン・タートゥーロ     カーマイン・ファルコーネ
    ピーター・サースガード    ギル・コルソン
    アンディ・サーキス      アルフレッド・ペニーワース
    コリン・ファレル       ペンギン

 

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 『ライトハウス』でヒゲをたくわえてあんだけおっさん臭かったロバート・パティンソンがなんとも病的でゴスネクラ厨二病ブルース・ウェイン像を作り上げていて素晴らしい!歴代で一番好きなブルース・ウェインになりました。

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 リドラー役のポール・ダノは『プリズナーズ』のまんまだし、気味の悪さも『プリズナーズ』のときのほうが際立っていたけども、その借景も踏まえて大成功の起用だと思います。

 

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 ペンギン役のコリン・ファレルは本人の原型を留めていないですけど、このバージョンのシリーズ化でもっと観ていたいキャラ造形でした。達者やなぁ・・・。

 

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 ファルコーネ役のジョン・タートゥーロが憎々しい最高の敵役やってるんですよね。『カリートの道』に出てきてもぜんぜんおかしくないとても実存的なギャングスタやしきたかじんみたいなルックスでタートゥーロのクセが目立たないんですけど、ゴッサム・シティという「街が構造的に生み出した悪」を上手く表現していると思います。

 

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 キャット・ウーマンを演じているゾーイ・クラヴィッツは良いですね!格闘技も決まっていたし、ウィッグ姿はナタリー・ポートマンを彷彿させる可憐さ。なにせキャット・ウーマンのコスチュームが本作のコンセプト通り取ってつけた感のない「実際にありそう」風なのが格好良かったです。アン・ハサウェイのよりずっと好きですね。ただ・・・ブルース・ウェインのビジュアルに引っ張られ過ぎかもしれませんが、『ドラゴン・タトゥーの女』のルーニー・マーラには勝てないかな?私がマーラ版リスベットが好き過ぎるんですけどね。

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 私が本作で一番好きだったのは『BELLFLOWER』のビジュアルを彷彿させるバットモービルのカーアクションでした。格好良かったなぁ! 多少ジョン・ウィックのフォード・マスタング偏愛に寄せている風が感じられましたが、カメラカットのあとに少し照明の抑えめな先に浮かび上がる車体は静謐さと獰猛さが両立していてめちゃくちゃ格好いい絵でした。


 それに、バットマン史上最高にクールな着地シーンがあります。あれは声出ましたね。「おわぁ!!」って。

 


【ここからネガティブコメント・ネタバレあり】


 なんだこりゃ?ここまでやってて大失敗じゃないですかこの映画!!!!!!!!
 役者にこんだけパフォーマンスさせて脚本と演出で致命的な失敗をしていると断じざるを得ません。

 ノワールやりたかったの? ミステリやりたかったの? 

 いやいや・・・マット・リーヴス監督、あなたそのジャンルそんなに得意じゃないでしょ?

 するすると見つかるバットマン宛のリドラーからの手紙、一問一答でバットマンが答える謎解き、現場保全の警備をしている警官のポロリでがぜん謎解きされる絨毯のネタ。突然謎解きを始めたかと思うと写真を床に並べて何故か缶スプレーで自宅の床に文字を書き出すブルース・ウェイン。キーアイテムから引っ剥がされたその下に観光案内かのように記されたゴッサム・シティの地図に丁寧に仕込まれた光る爆薬の設置場所・・・。

 尺取って客を冷やしているとしか思えない。ゾディアックへのオマージュがどうだとかはおいておいて、あざとさにさえたどり着けない白々しさ。3時間かけてなにやってんの? 謎解きやりたかったらファルコーネとウェインの父親の『LAコンフィデンシャル』パートはごっそり削るべきだった。

 もうひとつ無駄だと思えるキャット・ウーマンとのロマンスパート。なぜかバットマンとキャット・ウーマンが二人きりでビルの屋上に立つと音楽の当て方が野暮ったくなり、気恥ずかしささえ感じさせる台詞と演出がスタート。ラストのバイク・ランデヴーのシーケンスも「あー、はいはい」と吐き捨てたくなる凡庸さ。いやいや、セットにまたがってるのが丸わかりなバットマンの顔のアップで今更何を思えばよいの?監督の不得意カテゴリーが丸わかりな印象的なシーン達だったと思います。細かいことを言うとキャット・ウーマンが自宅の猫をバイクの後ろのパニエケースに積んで走り出すところはただの動物虐待にしか思えなくて映画に入っていけないというか、ラストもラストにシーンなので気持ちが離れていって仕方がないんです。多頭飼いだったのにその時は一頭しか出てこないのが気になるし・・・。

 そして決定的にこの映画の設計がミスってる(もしくは無視している)ところが、バットマンの文法破りのいくつかでした。

 まず、バットマンが明るい日中に人命救助に尽力するその違和感・・・。まぁいいです、型は破らなきゃ新しいものは生まれません。

 でもね、冒頭からブルース・ウェインは例の空にライトで浮かび上がるバットマン・マークで呼び出されるんですよ。ところがゴードン警部補とのパートナーシップが作られるのは中盤にかけて?まぁこの作品の前提として警察のだれかと協力体制ができていたとしましょう。それなのに、街中のクラブの用心棒にはすぐに顔バレするくらい有名なブルース・ウェインの名を、勾留所の監視カメラの下で(カメラをアップで抜いたんでそこは強調しているはず)バットマン・コスチュームで面会に訪れた彼にリドラーは「ブルース・ウェイン」と何回も呼びかけるんです。バレますよ!、バラしますよ!って。

 それがクライマックスの人命救助のシーンで「覆面の男が、懸命に!・・・」ってテレビ中継されています。そいつがブルース・ウェインどころか、バットマンであることも周知されていない世界が立ち上がるわけですよ。

 は!?

 ヒーローのヒロイックさと匿名性のロマンを、そんな形で台無しにしてまで表現したかったのは、絨毯剥がした床に刻まれたゴッサムシティの地図の外縁にチカチカ光るLEDですか?

 げんなりですよ。

『赤い闇 スターリンの冷たい大地で』アグニェシュカ・ホランド監督

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 スターリンに農業集団化政策を強行されて飢饉に陥ったウクライナに侵入取材した実在の英国人ジャーナリストを題材にした映画です。ウクライナに入ってからの描写で二度、耐えられなくて鑑賞を止めました。辛かったです。数百万人の飢餓死を招きながら、当時この事実は隠蔽され続けていました。しかもニューヨーク・タイムズ紙などの西側メディアとスターリン政権の癒着によって隠されていたのです。

 

 共産主義の圧政による民衆の苦しみ、飢えによる狂気を圧倒的なビジュアルで描きながら、ジャーナリズムの使命と限界、そして欺瞞について鋭く問題提起しています。私には後者のテーマがあまりにも現代的な問題として捉えられ、やるせなくて吐き気さえ感じました。

 

 本当のことを知ることの難しさ、報道がいかに恣意的に操作されるかの内情、そういった諸々を腹に収めて、世の中を飛び交うニュースに向き合うべきなのでしょう。

 

 ジョージ・オーウェル役のジョゼフ・マウルが抜群でした。当時、共産主義・平等社会というのが秘密主義のヴェールに包まれ西側自由主義陣営にも憧れをもって受け止められていたというのは驚きです。

 

 終盤にドイツ人記者役のヴァネッサ・カービーがひとり語りするシーンがあるのですが、そこにラジオで流れるヒトラーの演説がとにかく怖かったです。劇中にスターリン自体はプロバガンダの肖像画でしか出てきません。このコントラストの付け方もぐっと来るアグニェシュカ・ホランド監督は上手いですね。ロマンス描写の抑え方が私にはとても好ましかったです。

 

 そして、『4ヶ月、3週と2日』を超えるくらいにご馳走の肉料理のシーンに嫌悪感を覚える本作の食事シーンの演出は、真面目一辺倒のお硬い映画じゃ済ませないわよという監督のケレン味が出ていて、題材はとにかく重いけども、純粋に「あぁ上質な作品を鑑賞したな」という満足感が強い映画でした。