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映画『モーリタニアン 黒塗りの記録』ケヴィン・マクドナルド監督

監督    ケヴィン・マクドナルド
出演 ジョディ・フォスター     ナンシー・ホランダー
   タハール・ラヒム          モハメドゥ・ウルド・スラヒ
   ザカリー・リーヴァイ        ニール・バックランド
   サーメル・ウスマニ
   シェイリーン・ウッドリー      テリー・ダンカン
   ベネディクト・カンバーバッチ    スチュアート・カウチ中佐

 

 ケヴィン・マクドナルド監督『モーリタニアン 黒塗りの記録』を観ました。


 米国の国家権力の暴走を描いた映画ですが、これがちゃんと批判とエンターテイメントが両立しているのが凄いですよね・・・。めちゃくちゃ面白かったです。拷問シーンは目を背けたくなるほど酷いですけど。米軍女性兵士による男性収監者へのレイプが「特殊尋問プログラム」の一環として実行されていたなんて、なんて狂ってんだと思います。

 敵と恐怖と正義があれば、人間はこんなにも残酷になれる。

 これと『ザ・レポート』『バイス』『ルーミング・タワー』を観れば、当時ブッシュJr、チェイニー、ラムズフェルド、ライスと揃いも揃ってクソみたいな政治家が傍若無人に振る舞っていて、米国をさんざん痛めつけていたんだな、と感慨深いです。唯一『ゼロ・ダーク・サーティ』だけは正義の執行とプロフェッショナリズムについて肯定的に描いています。本作の冒頭の拷問シーンの扱いについて初めて観た当時は戸惑いましたが、上述の作品群や『ボーダーライン(SICARIO)』を観てようやく米国人にとっての「腫れ物」なんだと分かった次第です。

 米国が自由と平等の国だとも民主主義の聖地だとも思いませんが、少なくともこれらの映像作品が商業的なプラットフォームで有名俳優を起用して作れる土壌があるというのは日本とは大きくかけ離れたところであると思います。


 映画『牛久』なんかが日本人映画監督によって手掛けられない現状に、世界報道自由度ランキングが昨年の67位から71位に着実に後退している日本で、憲法変えたい厨二病患者が他所の国の戦争を見てソワソワ浮かれ騒いでいるというのはとても気持ちの良い世相とは言えません。