【監督】サム・メンデス/『アメリカン・ビューティー』
【出演】ジェイク・ギレンホール/『ブローバック・マウンテン』
ピーター・サースガード
ルーカス・ブラック
クリス・クーパー/『シリアナ』
ジェイミー・フォックス/『Ray/レイ』
出だしから、とにかく「戦争」と「戦争映画」をおちょくってますね。
「フルメタル・・・」「地獄の黙示録」・・・監督の正確な意図はさておき、私には「おちょくっている」としかうけとれませんでした。
それがとても心地よくて。
心の中で拍手。
見終わった感想。
「戦争はあきません」
ラジカルな行動派ではありませんが、根っからの戦争反対派としては、映画の題材として「戦争」を扱うことに、肯定的にしろ否定的にしろなんだか抵抗を感じる人間なのですが、この映画を観て「やっぱ戦争ってアカンわ・・・。」と思いを強めました。
あたりまえの概念かもしれません。
ところが、メディアに囲まれた島国の国民として、そういう認識を常に維持することって、とても難しい・・・。
例えば、世界には日本国人口と同じだけの未就学児童がいると知ったら、あなたは日本政府の金の使い方にどう反応します?先進国らが援助して、
彼ら彼女らに、食料と教育を提供できれば世界の生産性はどれだけ向上すると思います?資源を減らす一方の収奪型一次産業に従事せざるを得ない途上国の労働者を減らすことができたら?
古いデータですが厚生労働省の2006年度ニート対策予算は153億円です。
ちなみに官僚の使うタクシー代、だいたい年間60億!!
・・・すみません、話がそれましたね。
映画の話に戻ると、まぁそういった云々もろもろを考えこんでしまう、なかなか良い切り口の映画だなと思います。
戦争映画というだけで、私のフェイバリットにはなりにくいのですが、
1位『シン・レッドライン』
2位『地獄の黙示録』
3位『ジャーヘッド』
というところでしょうか。
ちょっと物足りない・・・と思ったあなた。
ココロのどこかで、戦闘シーンのクライマックスにカタストロフィを求めていませんでしたか?
「国が脅威にさらされている時、指導者たちは恐怖を利用して権力を強めようとする。イラク戦争では2001年9月の米中枢同時テロの恐怖があった。国民は権限を政府に与え、メディアは市民や兵士の士気を高めることに力を注ぐ。どの戦争も同じだ。メディアは、不明な点や違った見方を確実に議論できる仕組みをつくるべきだ。残念ながら、信頼すべきでない指導者を積極的に支え、盲目的な愛国主義を生む手助けをしてしまった」
ピュリッツァー賞記者 ヘッジズ氏 (東京新聞記事より)
こんな視点で戦争を描いて、従来の作品とは一線を画すものができあがる。そのあいだにも、人間って戦争についてあれこれ考えて、社会も戦争も人間自体も変わってきてるのに、映画のネタになるような戦争が次々と起こってしまう。
よろしくないですよ。ホントに。