ろぐの垂れ流し

LOVE定額の相手に着信拒否されたことあるか?!

ジェニファー・ピーダム監督『クレイジー・フォー・マウンテン』

 Amazon Primeの配信で鑑賞しましたが・・・ これはスクリーンで観ておけばよかった!

 登山、フリークライミング、スキー、スノーボード、バイク、ウイングスーツ、その他諸々の山にまつわる冒険、エクストリームスポーツの歴史と山岳信仰、人間の愚かしいほどの征服欲や開拓精神、そして生き物としての弱さや強さを描くドキュメンタリー作品です。

 圧倒的な迫力の映像とオーストラリア室内管弦楽団の素晴らしいサウンドトラックで自宅での配信鑑賞(残念ながらHDのみ)でも十分な迫力でした。とても耳に心地よい含蓄あるナレーションは地味にウィレム・デフォーが声を担当していて、テキストは作家のロバート・マクファーレンが担当。これが値打ち物です。

 ウインタースポーツもマリンスポートもしない、寒いのとか危ないのとか辛いのは大嫌いなわたし、横山秀夫クライマーズ・ハイ』の名台詞「降りるために登るんさ」もさっぱりピンとこないインドア派ですが、本作の途中でスキーヤースノーボーダーが次々とコケたり雪崩に巻き込まれたりするシーケンスを熱いほうじ茶をすすりながら眺めているのがやっぱり一番楽しい山との触れ合いだなと改めて実感しました。

 映画全体のメッセージとしては、山に対する敬意が貫かれていて、そこに果敢にチャレンジする小さき人間を時に皮肉を交えて観察し、自然破壊や観光地化された山岳地での労働搾取にもしっかりと目配せがあって好印象でした。

 とにかく、本作を一本編集するのにどれだけの素材を準備したんだろうという心打つタイムラプス、ドローン撮影、アクションカム、マクロ撮影の映像が満載です。そこらへんのYouTuberには絶対に真似できない上質な映像作品になっていました。

 季節が寒いうちに観ておくべきオススメの一本です。