『ファーナス/訣別の朝 OUT OF THE FURNACE』(2013)
監督:スコット・クーパー
出演:クリスチャン・ベイル、ウディ・ハレルソン
ケイシー・アフレック、フォレスト・ウィテカー
ウィレム・デフォー、ゾーイ・サルダナ
サム・シェパード
随分前に観たのですが、妙に痛い心の引っ掻き傷のようなものを残した映画です。この映画がどれだけオフィシャルに『ディア・ハンター』へオマージュを捧げているものなのか分かっていないのですけど、製鉄所、鹿撃ち、退役軍人のトラウマ、アメリカの闇、たくさんの共通するテーマがベトナムからイラクへと時代を変えて扱われています。
おそらくそれは、アメリカ人の儀式なのでしょうね。
娯楽作品としての戦争映画にも素晴らしい作品はたくさんありますが、ハンバーガーヒルやフルメタル、ジャーヘッドにシンレッドライン、そういった系譜の映画というのは、おそらくこれからも戦争をやり続けないといけない国に生きる人間に必要な苦い薬なんだと思います。
さて、この作品ですが、とにもかくにも出演陣が素晴らしい。
私は、クリスチャン・ベイルが本当に好きです。『アメリカン・サイコ』を観た時にこんなに美しい人がいるんだといっぺんに惚れてしまいました。
『ノー・カントリー』のウディ・ハレルソンも大好きですが、本作の彼はいい! すげーこえーです!!プライベートでも得体の知れない人のようですが、深い深い暴力の闇を表現できる希有な俳優ですね。
ケイシー! いいぞケイシー・アフレック!!
不覚にも『キラー・インサイド・ミー』では彼の演技がトラウマになるほど恐怖を覚えた私、その後『リターン・トゥー・マイ・ラヴ
LONESOME JIM』のゆるーい役で完全にヤラれました。本作ではTBSドラマ『半沢直樹』の近藤(滝藤賢一)のような追い詰められ方をしていてまことに宜しい。
そして『ニューローズホテル』から個人的にお見かけしていなかったウィレム・デフォー! 僕はなぜだかジェレミー・アイアンズか彼が出ている映画ってすごくテンション上がるんですけど変態ですかね? 本作でもキモイ! そしてほぼ本線に絡まない! すげぇ役者だ!!
フォレスト・ウィテカーはいつも通りなので省略(好きですよ!)
最後はゾーイ・サルダナ。うわー綺麗だわ、この人。サンディー・ニュートンも好きだったけど、この人も綺麗。ウィテカーはしょったのはちょっとした焼きもちだったのかも。
そんなわけで、アメリカの田舎のドタバタ。すげぇ役者達のおかけげですげぇ映画になっています。
大好き、この映画。
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『コロンビアーナ / COLOMBIANA 』(アメリカ/フランス 2011)
監督: オリヴィエ・メガトン
製作: リュック・ベッソン
出演: ゾーイ・サルダナ カトレア
ジョルディ・モリャ マルコ
レニー・ジェームズ ロス
アマンドラ・ステンバーグ カトレア(9歳)
想像の3倍は良かったです!
正直言ってリュック・ベッソンが絡んだ映画に対する色眼鏡は相当なものなので、おもったほど酷くなかったので安心しました。
主演のゾーイ・サルダナが素直に美しいです。これはいい。スタイルもいいし胸が大きすぎないのがとてもいい。綺麗な瞳と太股は最高。
だけどその他が本当に印象に残らない・・・。
脇役は存在感ないし、アクションや銃器ギミックの印象に残るシーンもあまりないし。サメのCGなんか無い方がマシでしょう。
アンヌ・パリローにステアーAUGをトイレで構えさせて正体を隠している恋人のジャン=ユーグ・アングラードとの扉越しの掛け合いで、恋と仕事の葛藤を数秒間で演出しきるあの緊迫感や、「マチルダからのプレゼントだ・・・」のジャン・レノのセリフのあとのゲイリーの痛快な捨て台詞を引き出すあの小道具・・・そういうのが無いんですよね~。
判定:『エージェント・マロリー』の勝ち!!
『複製された男 / ENEMY』(カナダ/スペイン 2013) 映画・MOVIE
監督: ドゥニ・ヴィルヌーヴ
原作: ジョゼ・サラマーゴ 『複製された男』(彩流社刊)
出演: ジェイク・ギレンホール アダム/アンソニー
メラニー・ロラン メアリー
サラ・ガドン ヘレン
なんか人気ないですね~。
不条理小説を不条理に映画にしたら、やっぱり受けないんでしょうかね?
『プリズナーズ』が好きすぎて追いかけで観ました。ご想像の通りサスペンスプロットを期待して観ました。
逆にそれが良かったのか・・・ストーリーが立ち上がる前の例の映像で完全に迷子になり、カナダの集合住宅の気持ち悪いロングショット(『ありふれた事件』以来とても苦手)もあり、得体の知れない不安と収まりの悪い世界観に終始酔いしれて、十分楽しめました。
とにかくサラ・ガドンとメラニー・ロランが美しいです。そこがまた、この映画のテーマのひとつであろう男のゲスさを十分に自覚させてくれて心地よかったです。
『渦』は未見ですが、『灼熱の魂』『プリズナース』と大ファンのドゥニ・ヴィルヌーヴ監督。次も趣味に走るのか、ちょっとは興業を意識するのか、撮る作品が楽しみ。その前に『ボーダーライン』観なきゃ。
『ランブルフィッシュ / RUMBLE FISH』(1983 アメリカ) 映画・MOVIE
監督:フランシス・フォード・コッポラ
原作:S・E・ヒントン
出演:マット・ディロン 、ミッキー・ローク、ダイアン・レイン
デニス・ホッパー、ダイアナ・スカーウィッド、ヴィンセント・スパーノ
ニコラス・ケイジ、クリストファー・ペン
ようやく観ました。バイク乗りのくせに(今は乗っていませんが)ずっと観ていなかったんですよね。まぁ観たらバイクなんて舞台設定以外ではちょろっと出てくるくらいですけど。
自分にとってバイクがもっと印象的なの『天使の涙』で金城武がミシェル・リーを乗せてトンネルの中を疾走するシーンとか、 レオス・カラックス『汚れた血』とかですね。
まぁバイクは置いておいて・・・とにかくミッキー・ロークが美しい!ブラコンを脚本の軸にするんだったらこんだけ格好いい俳優じゃないといけません!この当時、コッポラ監督に声をかけられた俳優陣は、やっぱりエリートだったんでしょう。
それと、若かりし頃のコッポラ監督の痛いくらい尖ったカメラの使い方が印象的でした。彼は映画人として現役時代のバイクボーイ、もしくは作中のマット・ディロンみたいにツッパリたかったんでしょうね。カメラも好きな自分からすると本当に興味深い絵がたくさんありました。
最後に、デニス・ホッパーが凄すぎます。昔から得体の知れないおじさんだ。一番印象に残りました。
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『シェフ 三ツ星フードトラック始めました』(原題 『CHEF』)映画・movie
監督: ジョン・ファヴロー
出演:ジョン・ファヴロー カール・キャスパー
ソフィア・ベルガラ イネス
ジョン・レグイザモ マーティン
スカーレット・ヨハンソン モリー
オリヴァー・プラット ラムジー
ボビー・カナヴェイル トニー
エイミー・セダリス ジェン
エムジェイ・アンソニー パーシー
ダスティン・ホフマン リバ
ロバート・ダウニー・Jr マービン
僕は料理映画が大好きです。洋食屋の倅として育った環境の影響が大きいのかもしれません。音楽と料理人とホールスタッフと客がお皿を通じてつながり合う臨場感が堪らなく好きなんです。
これまでに観た料理に関する映画で好きなものを三つ挙げろと言われれば・・・
ナンバー1は間違いなく『ソウル・フード』。素晴らしくバランスがいい。
ナンバー2は『ディナー・ラッシュ』。臨場感という意味ではずば抜けています。
ナンバー3はレストランが本来の舞台ではないのですが、ヒロインとの絡みで出てくるレストランの描写とジャズ・サントラが非常に優れていた『サイド・アウェイ』。駄目男応援作品。
そしてこの映画・・・いいですね。一位取っちゃったかも。
役者陣が素晴らしいです。
お恥ずかしながら主役のジョン・ファヴロー、奥様役のソフィア・ベルガラの二人はぜんぜん知らない役者さん。ただ、バイプレイヤーのすごさを見ると、敢えてのキャスティングではなかろうか?
って・・・監督&主演ではないですか!? 道理で!!!
ソフィア・ガルベラはセクシーで素敵です。役柄も意外といい人だし。
ジョン・ファウブローの演技は、包丁さばきのシーンでわざとよそ見させたりして「料理してます!」ってギミックも有りながら、全編にわたって安定した愛情溢れるキャラクターで好感度が凄く高かったです。
そう、なにせジョン・ファウブロー監督演じるカール・キャスパーの料理と息子に向ける愛情の映画なんです。
<ネタバレが始まります>
冒頭、息子と市場に同行するシーンで、ケトルコーンをねだる息子にシェフはこう言い聞かせるんです。「ケトルコーンの正体を知っているか?炭水化物の砂糖がけだ。この美しいフルーツを見ろ。こんなに美味しいフルーツがあるのにケトルコーンなんか食うな!」
その直後のカットがまた愛らしくて。
このおっさん、ほんとに食べ物が好きなんだな~、って感じさせます。
自宅マンションに結構な厨房設備を備えているカール。息子にホットサンドを作るシーンがあるんですが、その手つきが几帳面すぎて可笑しい。
『クレイマー・クレイマー』とはまた違った演出なんですけど、ここでの息子の反応がその後のストーリーに大きく影響してくるんです。
そして僕が一番感動したプロットは、息子が手伝いながら焼いたこの焦げたサンドから始まります。
こんな風に僕が子どもに教えてあげることがあるかな?
涙が止まらなかったです。
「パパは不完全な人間だ。欠点もいっぱいある。でも、料理は上手い。パパの料理でみんなを『少しだけ』幸せにしてあげられるんだ。だからパパはおまえに教えてやりたいんだよ。」
素晴らしいです。
料理と息子に対する愛情がオーバーラップした瞬間。
でも・・・すごく地味なカットで、盛り上げる演出も全然無し。
その時気付きました。この監督は超技巧的な映画を撮る人だなって。
バスに乗っているシーンを分割していったり、スマホで摂った動画を引用したり。
細かいことを言うと、料理人が腕に巻いているバンテージがリアル過ぎる。そうなんです。料理人って手傷が多いし腱鞘炎になりやすい。そういったことへの目配せは料理人への尊敬を感じさせてとても心地よかった。
最後に、黒髪のスカヨハは最高に素敵。途中で出てこなくなるのが惜しくて仕方ないですけど、本筋に残らない、背中を押すキャラとして彼女を使うなんて最高に贅沢じゃないですか!!
ジョン・レグイザモ・・・滅茶苦茶いいです。本当に申し訳ないですが、10年以上前に見た『SPAWN』以来。とんでもなく分厚いキャリアを積んでらっしゃる。
そしてロバート・ダウニー・Jr。ほんのちょっとしか出てきませんが、偏執的で可笑しくて嫌みな設定がたまらない!
すげー良い映画でした。
『どら平太』映画・movie
いやーー、いいっすね、コレ!!
私は昭和51年生まれ。
時代劇と言えば「必殺」と「鬼平」しか知らない世代。
(水戸黄門はおいておいて)
映画と言えばクロサワを必死こいて追いかけていた時代劇ロスジェネ代表です。
とは言え、なんだかんだで『13人の刺客』を手放しで楽しめるレザボア世代でもあります。
そう、時代劇の定型を知らないだけに楽しみ方も自由。
『大菩薩峠』も『椿十三郎』も大好きだけども、近頃の時代劇、いいじゃないですか。
まず、『たそがれ清兵衛』が良かった!!『壬生義士伝』泣いた!!!
『必死剣鳥刺し』・・・うん、まぁ良かった。などなど。
っつーことで、時代劇ヌーベルヴァーグの初期作品を観ようと思いまして、『どら平太』を観ました。
すげーですよ。この映画。
骨格のしっかりした映画って、こういう作品のことを言うのですね。
ザッツ・ジャパニーズ・ハードボイルド。
エリートと放蕩サラリーマンの間。
役所さん、輝いていました。
菅原先輩の凄みも相まって小平太のキャラが際立つ脚本。
なんせ、市川崑監督の経験値から来る精緻さ。
隙の無さをもの凄く感じる映画でした。
浅野ゆう子さん、着物をたたんで風呂敷に詰めるシーンの所作の美しさに感動しました。
今、すげー酔ってます。