本 『殺戮にいたる病』『絶叫』『その女アレックス』
昨日、『殺戮にいたる病』を読了しました。
伝説のラストシーンとやらを体験。
叙述トリックを使った「本格」なんだそうです。
・・・正直言うと、本は一回読んだだけで楽しめないとしんどい私には「本格ミステリー」は向いていないですね。
同じくらい気持ち悪くて、似たようなトリックが使われている『絶叫』の2人称マジックのほうが楽しめました。
途中、保険業界、社会福祉、クレジットローンなどの問題意識に筆が走りすぎるところ
がありますが、現代社会の「気持ち悪さ」がすごくよく書けていました。
ラストも痛快。後味悪し(いい意味で)
ただただ・・・『その女アレックス』にはこの2作もかないません。
ヒロインの抱えた陰惨な過去を、残酷なまでの狡猾さと知性をもって償わせていく様は壮絶で美しい。
愛情で昇華されるとてつもなく切ないラストを迎えるところなんか、去年一年で最高の一冊でした。
次は『慟哭』貫井徳郎と『高い城の男』ディックのどちらを読もうかしら。
- 作者: フィリップ・K・ディック,土井宏明(ポジトロン),浅倉久志
- 出版社/メーカー: 早川書房
- 発売日: 1984/07/31
- メディア: 文庫
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映画・movie『3時10分、決断のとき』
ラッセル・クロウとクリスチャン・ベールの絡みは安定感抜群で素晴らしい。
ベン・フォスターはキレキレでカッコいいし、ピーター・フォンダは馬鹿渋。
地上げや現金輸送車(馬車)襲撃、凶悪な無法者の護送、汽車の時間待ちなんていう設定も秀逸。
素材はそれぞれピカイチなのに…私は乗れませんでした。
まず、女性との逢瀬のために余裕の表情で捕まるラッセル・クロウの行動が不可解。わざとかと思えばそうでもないし。
この人(ラッセル・クロウ)ほんとに名うての無法者なのか?
観てれば、いつでも逃げられそうなのにぐずぐず護送されてるし、頼みの腕利き手下達は意外と救出に手間取るし、どんどん死人は出るし、で驚愕のラスト・・・
え? そんなことする必要ある?
それ、ただのサイコパスじゃん!!
グリーンの瞳の女性に対する執着も中途半端(ラスト付近の会話でなんとなく想像がつくが)だし、クリスチャン・ベールの劣等感とラッセル・クロウのトラウマが交差するシーンも「ポイ」っと置かれたような取って付けた感。
振れ幅の大きい複雑な人格としてラッセル・クロウをもう少し丁寧に書いて、クリスチャン・ベールとの関係性の中でそこを掘り下げる演出をもっと増やしてくれれば僕のこの消化不良感も解消していたただろうと思います。
そしたらクリスチャン・ベールの息子とラッセル・クロウのダークサイド軸も浮き上がってきたのではないでしょうか。
ピーター・フォンダやベン・フォスターはとてもいい役回りでしたが、そこも描きたくなるだけに、結果散漫になった印象です。
銃撃戦もほとんどなくていいので、野営や馬上での掛け合いをもう少しゆっくり見たかったです。
うーーん、『トゥルー・グリッド』の方が好きだなぁ・・・。
映画・movie『パンクチュア 合衆国の陰謀(PUNCTURE)』
日本未公開。
たまにこういう映画に、無警戒なところを金属バットで殴られたような衝撃を受けます。
『インサーダー』よりも『エンロン』よりもこの作品は衝撃的でした。
『不都合な真実』よりも不都合でしょう、これ。
TPPと日米並行協議で日本が向き合わないといけない「仕組み」ってこれですよ。TPPとは無関係なところでアメリカ人が作った映画だから、メッセージの重みが違います。
マイケル・サンデルも批判した「行き過ぎた」市場主義。
自分と自分の家族の命と健康だけは売り買いさせないようによくよく考え、見て、生きていかないといけないと思いました。
映画的には破滅的な人格のヒロイックな弁護士というキャラを確立したところが賞賛に値します。
そしてあの容赦ない脚本。
実話ベースの「仕方なさ」なんて一切感じさせない、素晴らしい映画でした。
渋い!!
映画・Movie『新しき世界』
なんで韓国ではこういう映画が作れて、日本から出てこないのかなぁ~?
なんの期待も予備知識もなく観たこの映画、面白かったです。
正直、韓流ブームの反動で「韓国映画??」という気持ちがないわけではないですが、それを差し引いても僕には好きな韓国映画が多いです。
『甘い人生』『オールドボーイ』『チェイサー』『悪魔を見た』『母なる証明』・・・
スペインの映画『オール・アバウト・マイ・マザー』や『靴に恋して』を観たときには、「スペイン人ってなんて愛が剥き出しなんだ!」って思いましたが、上記した作品群が好きな理由は生々しいまでの人間愛と暴力描写。
脚本もすごい角度で曲がりますしね・・・。
しかも剛速球。
さて、本作もハリウッドリメイクが決まっているらしく、かなり面白かったです。
香港人の作った『インファナル・アフェア』ほど綺麗で火薬の量も多くはないけど、まぁ暑っ苦しくてねちっこい!!
正義と仁義の葛藤、表と裏の葛藤もよく描けていたと思いますし、映画が動き出してからのテンポと盛り上がり方が実に良かった。
そして、何よりもこの映画の魅力は主役を張るイ・ジョンジェのその誠実そうなベビーフェイスと巻き込まれる境遇の熾烈さ、彼の「Point of NO Return」からの覚悟と手際の良さとその冷徹さのギャップでしょうね。
この映画で一番好きなシーンは、ファン・ジョンミン演じるチョン・チョンのエレベーター室内での乱闘シーン。いやー、『オールド・ボーイ』でもそうだったんですけど、韓国映画の多人数の暴力描写は汚くて騒々しくてすばらしい!
本作でも、いくら撮影とはいえそれ怪我するだろ!?っていうアクション演出にぐいぐい引きつけられました。
血まみれになった顔がヴァンサン・カッセルみたいに見えて男前度がここらへんから急上昇します。
・・・最後に突っ込みどころをいくつか。
①潜入捜査官が本名のまま潜入して、本名のままやくざの世界で成り上がる(笑)
②ヤクザの世界で出世した主人公の奥様を守るために、対立する組からの襲撃に警察が介入しているのに誰も彼が警察とつながっていると疑わない。
③踏み切りそばでコ局長を襲撃する際に、向こう見ずな設定の北の暗殺者が、電車が通る騒音の中で、という設定なのになぜか拳銃に消音機を取り付けだす。
ま、笑って済ませられる程度の粗です(そうかな・・・)
映画・Movie 『アウトロー』
想像していたより3倍は面白かったです。
『コラテラル』といい、この人は小品といってもいい映画ですごく面白い役をやる・・・。
『コラテラル』のときのコンバットシューティングも痺れたけど、本作の格闘シーンは『エージェント・マロリー』とはまた違った渋さがありますねぇ。
体重乗っけた打ち下ろす系パンチは、スポーツ格闘技ではありえないですし、執拗に膝間接を打撃で狙うっていうのも陰湿で良かった。
ミステリーのプロットは軽く流されていましたが、黒幕(ヴェルナー・ヘルツォーク) のキャラがそれはそれで一本撮れそうな凄みがあって魅力的でした。
僕が一番好きなシーンはリーチャー(トム・クルーズ)が採石場に電話をかけて、チャーリー(ジェイ・コートニー)を脅すところ。リーチャーの台詞回しが最高。
「なんせ俺は暇だからな!」(爆笑)
コラテラル スペシャル・コレクターズ・エディション [DVD]
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Gyao! で海外ドラマ、映画の動画が再生できない問題が解決した_Sleipnir4_Adobe_Flash_Shockwave_Clash
備忘録です。
2015年7月中旬くらいからGyao!が再生出来なくなりました。
いろいろ試してみると、海外ドラマ、映画が引っかかる様子。
Gyao! のサイトに載っているタイトルとだいたい一緒なので技術的な制約の模様。
インフォメーション:映画、海外ドラマ、アニメほか|GYAO![ギャオ]
2015.4.6
エラーコードは
stp1 06000
公式サイトの表記は
stp106000
使っているOSはWindows7
ブラウザはSleipnir4
<上手くいかなかった対処法>
Adobeのアンインストーラーを使って、プログラムをアンインストールし(アンインストールウィザードを使用しているので具体的に何のプログラムを消去したかは不明。
その後、動画再生しようとした時に現われるリンクに従いAdobeのページに飛び、推奨されるFlash Playerをインストールするも改善せず。
<上手くいった方法>
コンパネから「プログラムと機能」へ入り、Adobe~で始まるプログラムを全てアンインストールする。但しPhotoshopといlllustratorは除く。
その後、動画再生しようとした時に現われるリンクに従いAdobeのページに飛び、推奨されるFlash Playerをインストールする。
新規に開いたタブのバーに「chrome://plugins/」と打ち込み、プラグインの管理画面を表示させ、「Chromium PDF Viewer 」を無効にする。
<結 果>
・Gyao! で海外ドラマ、映画の動画が再生できない問題が解決した。
・今のところ、その他の動画視聴にも問題はない。
・結局、残ったAdobeのFlash関連プログラムは以下の通り。これは問題発生時にもインストールされていた。
・記録を残していないが、問題発生時には複数のAdobeプログラムがインストールされていた。
・プラグインの設定は下記の通り。
・さまざまな組み合わせを試してみて、Chromium PDF Viewerを無効に出来た場合に問題が解決した。
・問題発生時にはOpera用のFlash Playerがあり、詳細が再現できないが選択の関係で(なにかを有効にすると別のPlayerが無効になり、どうしてもChromium PDF Viewerを無効にする組み合わせにできない?)でChromium PDF Viewerを無効にできなかった。
<考 察>
・Chromium PDF Viewer(2Files)の「2files」が気になるが、このプログラムの格納場所まで探しておらず、アンインストールを試していないので因果関係は不明。「プログラムと機能」からはこのプラグインは見えなかった。(プラグインなので当たり前か・・・)
・推測になるが、Adobeの脆弱性が問題になった時点でFenrirからPPAPI 版 Flashの導入を進められた際に、アンインストールを実施せずにPPAPI 版 Flashをインストールし、結果、何らかの競合が発生したと考えられる。
・可能性として一番あり得るのは「Chromium PDF Viewer」だと考えられるが、インストール前後のプログラムの有無を確認していないので事実は不明。
以上
お役に立てば幸いです。
#Sleipnir4 #Adobe #Flash #Shockwave #Clash #stp1 06000 #stp106000 #プラグイン #chrome://plugins/ #Chromium PDF Viewer
『LONESOME JIM / リターン・トゥー・マイ・ラヴ』_映画
さすがスティーブン・ブシェーミ。
監督作では敢えての「外しっぱなし」の妙技。
誰がなんと言おうと、僕の「好きな映画」である。
残念ながら日本未公開の本作、ひたすら役者が凄い。
『キラー・インサイド・ミー』とのギャップに戦慄するケイシー・アフレック。
ギャラに執着しないせいか、既に「枯れ」を演技の幅に組み込んできている リヴ・タイラー。
僕には『バッファロー’66』での愛おしい役柄が忘れられないケヴィン・コリガン。
ジョン・ウォーターズやスパイク・ジョーンズに起用されているメアリー・ケイ・プレイス。
そして、画面に出ているだけで抜群の安心感シーモア・カッセル。
映画人としてスティーブン・ブシェーミがいかに愛されているかが伝わってくる。