ろぐの垂れ流し

LOVE定額の相手に着信拒否されたことあるか?!

教育投資について

仕事帰りの電車で隣になった女性二人が、かなり真剣に話し込んでいた。子供の進学と学費の話みたい。

 

「私、暮らしていくなら旦那の収入で十分だけど、子供の学費のために働いているようなものよ。」
「私立に行かせる学費よりも、予備校の方が高く付くらしいわよ!」
 
僕とそんなに歳の変わらない印象のお二人、随分と大きなお子さんをお持ちなのか、相当に計画的なのか。
 
僕は、人生のかなり場面で学歴に助けられた自覚がある。だけど僕は学歴ポジショントークはしないし、人にどこの出身か聞くことは決してない。でも、学歴コンプレックスで自分のこと攻撃してるのだろうなという人にもたくさん会った。あくまで邪推だけども。そんな時、自分の母校が数ある地方国立大の一つという事実もそんな時の憂鬱な気持ちに拍車をかける。優秀な教授陣を抱えた素晴らしい大学であることを強く前置きして、略称を発音すると信州や駅伝強いぞに負けるネームバリューでしかない実情と周囲の反応とのギャップに戸惑う。近所に京大や阪大があるし。ま、要するに彼ら彼女らは大学のことをよく知らないのだろう。
話が少しズレたが、僕は母校のおかげで今まで食えてきてるし、家族を持てたと感謝している。だけど、これからの時代の日本の高等教育には懐疑的だ。
何故なら、産業や雇用環境の変化が早すぎて、高等教育のプログラムが働き手に求められているイシューをリードできないだろうから。学び直しや生涯学習に対する啓蒙それ自体が、1回きりの高等教育で身につけられるエンプロイアビリティ(employability)の限界を示唆している。

 

『「学力」の経済学』(著 中室牧子)によれば自分の子供に対する教育投資はあらゆる投資の中でもリターンが大きいのだそう。
『欲望の資本主義』でスティグリッツ教授は世界経済に大きな影響を与えているアイディアを創出しているのは大学セクターだと言っている。
私自身も国家戦略として日本における教育への公的支出の比率の低さに懸念を禁じ得ない。

 

とは言え、高等教育というものは経済的な目的のために借金(リスク)背負ってまで受けないといけないものなのだろうか。
親は、子供に生身の躾や教育を授ける時間を削ってまで働いて、教育費を稼がないといけないものだろうか。
僕は、自分の娘には、野菜や魚の旬や献立の当たり前の知識やだったり、土いじりの仕方や山菜の見分け方の技術だったり、ご近所にお裾分けをもらえる社交性や礼儀だったり、過剰な消費に追い立てられない足るを知る分別だったり、お上から社会福祉を引っ張れる知恵と図々しさを学んで身につけてほしいと思っている。
子供に高い教育を受けさせたい親の気持ちを否定するものではないけども、経済のトレンドである「不確実性」や「予測不可能性」を十分に織り込んだ「レール」を敷いてあげたいと思うことが恐ろしく矛盾を孕んだ事であるということは認識しておいた方が良いと思うのだ。

 

「学力」の経済学

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