玉袋筋太郎もマキタスポーツもファンである自分が中華が嫌いなわけがない。
TBSラジオ「ライムスター宇多丸 アフター6ジャンクション」で取り上げらたことで知りまして本作を買って読んでみました。中華屋さんでチャーハンやラーメン以外の亜流メニューを食べ続け、その美味しさや奥深さ、歴史や時に「なんの思いつきだよ!」というテキトーさに魅了されていったあるミュージシャンの自筆漫画コラムです。
中華料理屋で食べるオムライスはなぜ美味いのか、中華料理屋のカレーには4つのカテゴリーがある、中華料理屋のカツ丼はあんかけ、中華うどんってなんだ?、中華料理屋の生姜焼き定食ドカ盛りについて、などなど読んでるだけで胃薬が欲しくなる、だけども猛烈に食欲をそそる謎食感の漫画コラムです。
面白い!
取材先はほぼ関東から西。関西は大阪、神戸、広島そして福岡などなど。自分が行ったことや住んだことのある土地が多くて親近感が湧きました。
1番の魅力は中華料理屋の亜流メニューや発祥不明の料理の成り立ちについて、実食とお店の人へのインタビューをもとに独自の考察をしていくところです。ネットや書籍にあたったりすることは最低限で、「多分こうなんじゃないか?」という真面目とテキトーのあいだのいい湯加減でまとめているところが「ああ、自分も中華料理屋に繰り出してその思考をたどってみたい」と思わせる余白を残してるんですね。
編集者に「漫画描ける?」と聞かれ、テキトーに始めた連載のせいか、脱力した決して上手と言えない絵。それととっても瞬発力のある料理イラストのシズル感とのコントラストも味わいのうちです。著者本人が言っていましたが『クッキング・パパ』に影響されているそうです。
ラーメンやチャーハンを外した亜流メニューがテーマであるのになぜこのタイトルなのか?は最後まで読めばわかります。そして、カバーを外したら出てくるなんとも素敵な表装。泣かせますね。