「俺は空っぽの男だ。何者でもない。」
このセリフが出てくるのが少し遅いと最初は感じたのだけれども、観終わった後に振り返るとようやくそれぞれの演出やギミックが見事に繋がっていって、そのタイミング自体にも納得がいった。
導入部で意味不明に長回しで撮られている愛車のフェラーリの行く末や、ギプスの居心地の悪さやそれが取れたシ-ンで周囲にいる人間の種類だとか、特殊メイクの為に石膏(?)で塗り固められたスティーブン・ドーフの顔に少しずつ寄っていくカメラだとか。
エル・ファニングがスティーブン・ドーフのもとを訪ずれた事で起きていく変化とその意味を「説明書き」にならないように、寡黙なトーンだけど瑞々しく表現している。退屈と言われて否定は難しいけど、この細かな演出の積み重ねが煩さやあざとさを感じさせないのは、ソフィア・コッポラのゆったりとしていながら緻密な作風に依るところが大きいと思う。
きっと計算尽くでやっているのだろうが、恐ろしい監督だ。
映画全体から見れば短い尺だけど娘と離れた後の喪失感の演出が最大の見所ではないか。直前に親子でプールに潜っておどけるシーンが素敵なだけに静かに胸をついてくる。今までしたこともない料理なんかしたりして。
「ブレイド」のヴァンパイアの若大将もこんな役をやる俳優さんになったのですね。
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