『LONESOME JIM / リターン・トゥー・マイ・ラヴ』_映画
さすがスティーブン・ブシェーミ。
監督作では敢えての「外しっぱなし」の妙技。
誰がなんと言おうと、僕の「好きな映画」である。
残念ながら日本未公開の本作、ひたすら役者が凄い。
『キラー・インサイド・ミー』とのギャップに戦慄するケイシー・アフレック。
ギャラに執着しないせいか、既に「枯れ」を演技の幅に組み込んできている リヴ・タイラー。
僕には『バッファロー’66』での愛おしい役柄が忘れられないケヴィン・コリガン。
ジョン・ウォーターズやスパイク・ジョーンズに起用されているメアリー・ケイ・プレイス。
そして、画面に出ているだけで抜群の安心感シーモア・カッセル。
映画人としてスティーブン・ブシェーミがいかに愛されているかが伝わってくる。
土漠の花
- 作者: 月村了衛
- 出版社/メーカー: 幻冬舎
- 発売日: 2014/09/18
- メディア: 単行本
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我々日本人にも、「戦争」の覚悟は不要とは言えない。『悪童日記』アゴタ・クリストフ
今、このタイミングでこの小説に出会えたことに感謝しています。
「その女アレックス」談義の時に同僚に勧められてイッキ読み。
「スゴ本」でした。
戦争に反対することと、戦火を逃れる備えをすることは、同時にやっていてもおかしいことではないと思います。
一人の国民として国防に尽くすことは、人間として強く生きていく力を持つことと矛盾しないはずです。
自分の力で生きていけないから国に頼る。
それは愛国とは言えないのではないでしょうか。
その女アレックス (文春文庫)
「スゴ本」でした。
久しぶりに「凄い読書体験をした!」って感じです。
暴力描写と性的な設定が女性には少々酷な話ではありますが、間違い無くお勧めですね。
精緻さとダイナミックさ、残酷さとヒューマニズムが絶妙に両立している素晴らしい小説。
アレックス・・・僕は彼女の設定が悲しくも素晴らしいものだと思いました。悲しくて、とても強い。知的でアイロニカルで、そして狡猾。
読後に、「あれは彼女の優しさなのか?」と思い至って、胸をかきむしりたくなりました。
サイドストーリーもとても美しいですし「荒さ」がないのもこの作家の作品の魅力ですね。とんでもなく練られたプロットです。
映画・movie『プリズナーズ』
家族愛や倫理観、行いの善悪を描いた映画ではないと感じた。
恐ろしく深い、人間の因果についての話。
この映画では、神さえもそこに巻き込んで、深く深く織り込んでいく。
「灼熱の魂」では暴力の連鎖に対しての批判的なメッセージは読み取れたが、この作品ではそれもない。
ヒュー・ジャックマン演じる父親が犯罪行為に走ってしまった時点で、刑事役のジェイク・ギレンホールにラストであの視線の演技をさせることで、一切を鑑賞者に放り投げる。
「あなただったらどうしますか?」と。
ヒュー・ジャックマンが娘のために容疑者役のポール・ダノにリンチをしている最中、「彼が真犯人であって欲しい」と願った自分の心象に戦慄した。
とても怖い経験をした。
自分はその時、真実や人一人の命の尊厳よりも、自分の倫理観の範疇で理解できる単純な世界を望んでいたからだ。
映画・movie『エージェント・マロリー』
今朝、ソダーバーグの『エージェント・マロリー』を観ました。
こりゃぁいい! 大好き!!
主役のジーナ・カラーノに惚れ込んだらしいソダーバーグの偏愛映画ですが、あの豪華な脇役男性俳優をよくまぁあんな扱いできるもんだ。好き勝手できる実力を認められた監督は自由でいいですな。
『RONIN』や『コラテラル』、『ラスト・ターゲット』のクソ地味だけど納得性とキレを追及したアクション描写が好きな僕にはたまらんテイストでしたが、おそらく回帰性を強めようとしたプロットが一般受けしない理由でしょうか。マイケル・ファスベンターとの「あの」シーンの導入なんかは、絶対に「何回も観る人」用の演出だと思います・・・。
『コロンビアーナ』と比べて、レンタル版のリリースの遅さに知名度の人気の低さが伺えます。僕は絶対こっちのほうが好きですけど。
前述しましたが、『女はみんな生きてる』にあるような、「男、しょーもな!」っていうテーマが僕には心地よかったです。