Amazonプライムで鑑賞しました。
とてもじゃないですけど素直に丸呑みできる脚本じゃないです。キャスティングを決めてからそれぞれの俳優にあて書きしたようなストーリー。不条理とも破綻とも言えないよく分からない味わいでした。
映画として、脚本としては、とてもジャームッシュ作品『パターソン』やコーエン兄弟の『バーン・アフター・リーディング』を超える評価はできないですけど、それでも配役と役者の演技には代えがたい価値のある映画です。
ビル・マーレイ、アダム・ドライヴァー、ティルダ・スウィントン、クロエ・セヴィニー、スティーヴ・ブシェミ、ダニー・グローヴァー・・・好物しか出てないくらいの勢い。私は『コンステンティン』で大好きになったティルダ・スウィントンが期待を裏切らない気味の悪さと切れ味を存分に発揮してくれて、彼女の活躍だけでこの一本は楽しめました。
ビル・マーレイとアダム・ドライヴァーの掛け合いはもちろん最高ですが、今まで見たことのない人間臭い、ちょっと鈍くさいクロエ・セヴィニーがそこに加わって、彼女の可愛らしさが際立って素敵でした。
ゾンビ映画なのに登場人物たちがわりとすんなりと現実を受け入れる奇妙はテンションや、パニック・アクションがありながら全くテンポを上げないストーリーテリング、キャラ造形やステレオタイプ通りのオチが付くかと思えばふわりとそれを外したり、とにかく変な映画です。
本作に出演もしているスティーヴ・ブシェミが監督した『リターン・トゥー・マイ・ラヴ』に似た、「外して、外して、ストーリーを進める」リズムに良く似ていたなと思いました。