親元を離れてダウンタウンのアパートで恋人と暮らすエイプリル(ケイティ・ホームズ)は、仲の悪い母親(パトリシア・クラークソン)が末期のガンだと聞いて、感謝祭に初めての七面鳥を料理し、家族を招こうとするが、まぁ一筋縄では七面鳥は焼けないし、エイプリルに対して複雑な心境の家族達はなかなかエイプリルのアパートにたどり着かない・・・。
アパートの隣人達の協力(と嫌がらせ)を得ながら、料理と悪戦苦闘するエイプリルと、車の中でエキセントリックな言動を連発する母親やそれに振り回される家族を対比的に描きながら「家族の思い出」をどんどん掘り下げさせて、結局距離が近づくにつれてみんなの気持ちを重ねあわせていく・・・。
まず、エイプリルは本当に料理ができない。男の自分が、観ててイライラするほど手際が悪い。でも、一生懸命なんだよね~。母親は嫌いだった。でもね、イヤイヤ七面鳥を準備なんかしちゃいない。本当は愛している母親の為、ちくりと刺さる思い出もぐっとガマンして、料理をしていく。きっと感受性が豊かで自由すぎた。だから母親とうまくいかなかった。
アパートの隣人であるウェイン(ショーン・ヘイズ)に「君は人を不愉快にさせる。なぜそうなのかをきちんと分析して僕を納得させろ!」というようなことを言われた後で、「本当はちがうもん・・・。」と本気でヘコむエイプリルは思春期の女の子そのもので、でも、いくつになろうとも誰もが他人の評価と本当の自分とのギャップに苦しむ事ってのは必ずあって、そこらへんの演技で、やたらとエイプリルを嫌う母親と本当はいい子じゃんっていうエイプリルのキャラに、いっぺんに説得力を持たせるケイティ・ホームズの演技に拍手。
でも、エイプリル、ボビーの前は売人のダメ男と付き合ったりしてて。それだけにボビーの男前さが際立ちます。絶対かっこぉえぇわぁ。愛情で女性を綺麗にできるって、男にとって最高のハッピー。全然嫌味じゃないんです、いい人っぷりが。こういう人になりたいなぁ。
お母さん(パトリシア・クラークソン)、ちょっと演技過剰です。ほんま痛い人です。自意識過剰だし、ひどいこと言い過ぎ。だけど、末期ガンで自分の余命が短いことを自覚している人間として観てみると、すごく毅然としていて、でも突っ張ってて、哀しいけど、かわいらしい人。被害者意識に傾くか、多少他人に攻撃的になっても自分のプライドを守り抜くか。パトリシア・クラーゾンは劇中で一言も弱音を吐きません。エイプリルの妹役のベス(アリソン・ピル)にひどい事言った後、ボケが始まってるおばぁちゃん(アリス・ドルモント)にこう言われます。「ところで・・・あなた誰?」むっとして答えるパトリシア・クラーソン。「知ってるくせに!」それにちょっと戸惑ったようにおばぁちゃんは、「私が知ってるのは、もうちょっと優しくて・・・。」と言いかけるのですが、パトリシア・クラーソンはこう遮ります。「前とは変わったのよ!!」おばぁちゃん、素で・・・「じゃぁやっぱり、知らない人だわ。」(!)すっごく胸に刺さりました。おばぁちゃんじゃないと救いようの無い台詞です。
そんなこんながありつつも、すごく温かいハッピーエンド。『アバウト・ア・ボーイ』の次に好きな団欒の風景。是非観てください、この映画。大事にしたくなる映画です。
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