ろぐの垂れ流し

LOVE定額の相手に着信拒否されたことあるか?!

ゆるく生きるために熱く戦う---寛容と強さ

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 本を読みながら、引いてある文献に安い中古が有ればどれこれ構わずオンラインで買ってしまうので、週に数冊の本が届きます。
 最近、写真にある本が届きました。だけども、森嶋通夫さんのことは知らないし、何が気になって買ったのかも思い出せない。ただ、最近で日本人の本が届いたというところからおそらく出口治明氏の本を読んでるときに買ったのではないかと思われます。
 表装もない、またいい感じの古本ですよ。
 初版が1977年の新書版とはいえ当時新品で280円という価格表示に時代を感じます。
 読んでみるとこれがまた面白い。この本に書かれている先入観のままのイギリス人観しか持ち合わせていなかったことに気付かされ、古さを感じさせない刺激と学びの多い本です。
 まだ半分も読んでいませんが、引用した一説は痛快だったなぁ。
 「イギリス人がナチズムに対して頑強に戦ったのは、寛容な社会を保存するためであった」し、国民は戦争に対して冷ややかな態度も持っていました。翻って、国民が一丸となって熱狂したところで戦争には勝てないということです。日本がそうだったのですから。
 本当に身につまされる話ですし、近頃の日本のキナ臭い空気を見るにつけ、歴史に学ばず一体なんのノスタルジーに浸ってるんだと怒りを感じます。批判を恐れず言いますが、僕は「坂の上の雲」症候群が大嫌いなんです。

さて、フランクリン・D・ルーズベルトはこう言っています。

人の優しさが自由な国民の精力を弱めたり、その性質を軟弱にしたという例は決してない。国家は頑強であるために、なにも冷酷である必要はない。

 

 卑近な話に置き換えれば、スポーツに強くなるためにシゴキが必要なわけではないですし、行儀の良い子供を育てるのに体罰は必要ありません。経営を強くするためにオラオラマネジメントが必要なわけじゃないですし、国が強くなることと右傾化することは同じではありません。

以下、引用です。

 もう一度、戦争中の話にもどりますが、タイムズには「二十五年前」という欄があり、二十五年前のその日のタイムズの記事のうち面白い記事を抜粋しています。数年前には、二十五年前は戦争中でしたが、その中に次のような記事がありました。「次の週末には、おそらく敵の空襲があるだろう。したがってもし皆さんが外出される場合には、帰りの汽車が不通であるかもしれないということを勘定にいれて、どうぞご外出ください。」だから当時の日本人から見て非国民的に行動していたのは単に労働者だけではなく、イギリス人全体が多かれ少なかれそうだったと思います。
 イギリス人がナチズムに対して頑強に戦ったのは、寛容な社会を保存するためであって、したがって、戦争中につくられた戦意高揚映画の多くは、ナチス国家との対比で英国における自由を非常に強調しております。それゆえ多くの映画で、ドイツ人は非常に規律正しく、イギリス人はむしろだらけたようにえがかれております。

『イギリスと日本』森嶋通夫 著、岩波新書、1977年