昨日、『殺戮にいたる病』を読了しました。
伝説のラストシーンとやらを体験。
叙述トリックを使った「本格」なんだそうです。
・・・正直言うと、本は一回読んだだけで楽しめないとしんどい私には「本格ミステリー」は向いていないですね。
同じくらい気持ち悪くて、似たようなトリックが使われている『絶叫』の2人称マジックのほうが楽しめました。
途中、保険業界、社会福祉、クレジットローンなどの問題意識に筆が走りすぎるところ
がありますが、現代社会の「気持ち悪さ」がすごくよく書けていました。
ラストも痛快。後味悪し(いい意味で)
ただただ・・・『その女アレックス』にはこの2作もかないません。
ヒロインの抱えた陰惨な過去を、残酷なまでの狡猾さと知性をもって償わせていく様は壮絶で美しい。
愛情で昇華されるとてつもなく切ないラストを迎えるところなんか、去年一年で最高の一冊でした。
次は『慟哭』貫井徳郎と『高い城の男』ディックのどちらを読もうかしら。
- 作者: フィリップ・K・ディック,土井宏明(ポジトロン),浅倉久志
- 出版社/メーカー: 早川書房
- 発売日: 1984/07/31
- メディア: 文庫
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