1997年 香港
監督・脚本 フルーツ・チャン(陳果)
出演 サム・リー
ネイキー・イム
こういう湿度の高い映画は大好きだ。
『夜になるまえに』『シティ・オブ・ゴッド』『レイン』・・・。
仕事もせず、ヤクザの取立ての手伝いのような、チンピラまがいのことをやりながらも、知的障害者の保護者かのような振る舞いも見せ、重病の少女と恋に落ちる青年の話。
残念ながら自分はホンコンに行ったことがないし、一般人であり外国人である以上黒社会の実情やダウンタウンの風俗など知りようもない。
だからこの映画をリアルかどうかという視点では評価できないが、彼らが死に向かっていく様は、別段美化されてもいないと思うし、他人事でもないと思った。
ひたすら人間関係が希薄になっていくと、これだけ人を傷つけても、自分の座標を確かめられなくなってしまう。そして、幸運にも自分を必要としている人間が現れるとしても、やっぱりどこかに欠落した部分を抱えた人間同士だから、一緒になって彷徨う羽目になってしまう。
そんなふうにして所謂一般的な世間との接点を無くし、生きていることがどんどん「非現実的」になっていくと、その対極にある「死」に対して「現実」を求めるしかなくなるのか?
監督は「それではいけない。生きるんだ。」というメッセージをこの映画に込めたという。
しかしボクには、サム・リーが実銃を手に入れ、狂喜のあまり、その銃を手にして自宅の部屋で汗まみれになって踊るシーンが頭から離れない。『死』というリアルを容易に与えられる道具を手に入れ、陶酔しきっている彼の姿が頭から離れない。
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